専門学校時代の実習先だったので、そのまま就職しました。
慣れているところに就職した方が、設備や器具の使い方を新たに覚えなくても良かったからです。
院長先生は若い女の子に優しいので、当時20歳だった私にも優しかったです。

来院する患者さんの数が少なくて、ヒマでしたが楽でした。
１日に数人、いつもの患者さんが来院するだけで、患者さんの中には院長先生と喋りに来たいだけの方もいました。
院長先生はヒマな時は、待合室で漫画を読んでいました。
患者さんのいない時間帯は掃除をしたり、歯科技工士さんの仕事を見せてもらいながらおしゃべりしたり、仮歯を作る練習をさせてもらいました。
銀歯を作る装置で、シルバーの指輪も作らせてもらいました。
院長先生と山菜採りに行ったりもしました。
きのこの種類を教えてもらったり、院長先生の友人の所有する畑に枝豆をとりに行ったこともありました。
院長先生はぜんぜん厳しくないので楽しかったですが、給料は経営難のためあまり良くはありませんでした。
給料を払えない月もあり、先輩の歯科衛生士さんや歯科技工士さん達は怒って辞めていきました。
週に２回、老人ホームを訪問して、往診していました。
たくさんの入居者の方の部屋をまわり、お口の中のお掃除をしたり、入れ歯の調整をしたりしました。
私は老人が好きなので、この仕事がいちばん好きでした。
老人ホームの方達も、私たちが来るのを楽しみにしてくれていたようです。
たくさんお話ししながら、診療していきました。

やりがいを感じた時は、やっぱり患者さんが喜んでくれた時です。
頑張って勉強をして国家資格をとって、自分にしかできない技術で患者さんを治療して治して、それで患者さんが喜んでくれることほど嬉しいことはないです。
得意な分野、苦手な分野がありますが、苦手な分野でもたくさん練習して一人前にできるようになると嬉しいです。
患者さんに、ありがとうと言ってもらえると、また次も頑張ろうと思えます。
院長先生に成長したなと褒められることも嬉しいです。

来院する患者さんが少なすぎたので、30分に１人くらいのペースでゆっくり診療できたら良いなあと思います。
一番困るのは給料が払われないことなので、その問題が解決されれば良いです。
私は子どもも好きなので、子どもがもっとたくさん来院してくれれば良いなあとも思います。
院長先生の性格がゆるかったので、時に頼りないところもありました。
そのために辞めていく人もいましたが、性格が合わないのは仕方ないことです。
私はおっとりした性格なので、ゆっくりなスローペースでできる仕事が良いです。
責任のある仕事なので、ミスは許されません。
落ち着いた環境で仕事がしたいです。
そういった点では、この歯科医院は私に合っていたと思います。