当時のとらばーゆという求人雑誌を見て、イメージがかっこよくて、やってみようと思いました。また経営者が女性だったのも意外性があって興味が沸きました。企画営業職ということで、正直営業には抵抗がありましたが、最初はアルバイトからということで取り敢えずやってみることにしました。

広告代理店と聞くと、ドラマなどの主人公などがよくあてはまる職業であり、カッコイイ響きで友人に自慢できるかな、みたいな軽い気持ちで挑みましたが、それは一部の大企業の話であり、ほとんどは中小零細企業で、実際の仕事もとても地味で泥臭いものでした。よくある求人広告系の代理店ではなく、雑誌や新聞などの全国紙でしたので優越感みたいなものはありましたが、結局やってることは一緒です。ひたすら電話営業です。雑誌枠を買い取り、そこに広告を載せたい企業を探すのが主な仕事です。100件営業して、10件プレゼンして、内1件取れれば上出来ですね。買い取った枠が埋まらなければ結局損失を被るのは我々なので、締め切りが迫ってくれば、とにかく顧客に頼み込んで何とか広告を出してもらう、みたいなことの繰り返しでした。経営が悪化すればどの企業もまずは広告宣伝費を減らそうとします。そんな時でも、くらいついて相手を負かすぐらいのしつこさとウザさが絶対必要です。なので良くも悪くもメンタルは鍛えられます。また全国にお客さんがいるので、外勤ではなくほぼ内勤です。直接人に会いたくない人や、外に出たくない人には良いかもしれません。またこの業界の就業時間は10時からとかが多いので、朝が苦手な人や、満員電車が嫌いな人にもオススメです。

やはり反響があったときですね。地方のクライアントだと、まさか雑誌の広告見て本当に来るとは思わなかったよ、とか、この前隣の県から2時間以上かけてお客さんが来たよ、などと聞くと紹介して良かったと思います。また駆け出しのベンチャーで広告に消極的だった企業などが、広告掲載をきっかけに一気に飛躍してった姿なども目の当たりにしました。そういった過程を共有できたことにも、もちろんやりがいを感じますし、その後も広報の外部コンサルとして関わっていければさらに面白いと思います。

良くも悪くも相手合わせてばかりいたら、信頼関係は生まれませんね。時には相手の勘違いや間違い等を遠慮せず正すことが大切です。また広告は一度きりでは反響は薄いです。大きくて派手な広告を一度だけ打つよりも地味でモノクロな広告を半年間、一年と掲載していった方が遥かに効果があります。枠が埋まらないときは焦ってしまい一回だけの契約を結んでしまいがちですが、結局反響がないからと信用を失ってしまい、その後の契約に結び付かなくなるという悪循環を何度もしてしまいました。もっと喰らいついて相手を長期契約に誘導すべきだったと後悔しています。こういうことってこの仕事に限らずどんな仕事にもあてはまるし、また仕事以外でもしょっちゅうあるんですよね。